M&Aが求められる背景
少子高齢化で国内市場が縮小する中、業績が好調であるにも関わらず、「後継者がいない」「今後の成長戦略が描けない」といった悩みを抱える中小企業が増えています。特に後継者不在の問題が大きく、仕方なく廃業を選ぶ経営者が年々増加傾向にあります。そのような中で、大きな注目を集めているのが「M&A」による事業承継です。M&Aにより企業を信頼できる企業へ譲渡することで、長年培ってきた企業のノウハウを途絶えさせることなく、事業を存続・拡大させることが可能になります。M&A件数の推移 ※2023年6月6日更新
(グラフは、レコフデータ-MARR online「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」をもとに、当社が独自に作成。)
上記の図の通り、M&Aの件数は2011年より増加している状況です。
しかしながら、自分の会社を譲渡する・会社を譲受けるということは、そう簡単に決められるものではありません。また人生において何度もあるわけではありません。そこで、M&Aには関心を持っているものの、「企業の買収・売却に失敗したくない」「従業員のことをしっかり考えたい」「M&Aの具体的な費用や手順を知りたい」「M&Aにはどんな事例があるのか知りたい」という方に向けて、M&Aのメリットやデメリット、具体的な手順などについて解説します。
M&Aでどういった課題解決が望めるのか
1.後継者問題の解決
売り手側のメリットとして昨今注目されているのは、「経営者の高齢化による後継者問題」の解決です。人材難により後継者がいない、または親族や社内に後継者がいる場合でも、自社株式の承継に伴う税負担やコストに耐えられない。このような課題を抱えている場合でも、上場企業や同業の大手企業をはじめとした経営・財務基盤の強固な信頼できる企業に譲渡することで、事業を継続させる事ができるだけでなく、さらなる発展も期待することができます。
2.事業成長に必要な時間を買える
買い手側の最大メリットとして、「事業成長に必要な時間を買える」という点があります。新規事業への参入や事業の多角化、市場シェアの拡大を目指す場合、ゼロから事業を育てるには膨大な時間とコストが必要になります。M&Aを活用し、事業譲渡や株式譲渡で優良企業(事業)を買収すれば、企業が保有するノウハウや取引先、人材、技術などを継承できるため、時間やコストを抑えて加速度的に自社の事業を発展させることが可能です。
3.従業員の雇用の安定
多くの中小企業経営者は、自社を長年支えてくれた従業員を家族のように考えているでしょう。信頼のおける優良企業に事業や会社を引き継ぐことで、家族同然である従業員の雇用の安定も図れます。そして、経営者自身も保有する株式を売却して現金化することで、廃業コストをかけずに第二の人生を歩む資金を得ることができます。